ウメの剪定

「梅の剪定は年賀状を出す前に」というわけで、今年も剪定の季節がやってきました。この家には前から植えてあった梅の木が4本。後から植えた小梅が1本あります。

 

写真中央がそのうちの1本。右奥に見えるのは桃です。上に「スッ」と太く伸びる枝を徒長枝と言いますが、こういった枝がたくさん伸びるよりも、30センチほどの枝がたくさん伸びるほうが、実がたくさんなります。

 

果樹の育成は、枝葉を生育させる「栄養成長」と、実を生らせる「生殖成長」のバランスをうまく調整するのが大事なんだそうです。

 

その他に、葉が茂り枝が伸びた時に、樹全体に効率よく適度に日光があたる事。そして、花や実を丁度良い数に制限する「摘蕾」「摘花」「摘果」の作業をするために、全ての枝に手が届くための空間の確保や高さの調整。農薬散布・下草の除草などの作業をする際に効率よく作業ができるような樹形にすることも考えて全体を調整します。

 

特に、樹の中心部分の日当たりは、よくよく考えて行わないと、内部の枝が禿げ上がり、栽培面積当たりの収量も落ちます。全体の樹形としては、縦長の樹形よりも、横に広がった樹形の方が、樹全体の日当たりも良く、また、根っこも細かい根っこが地表近くに広く広がって効率よく肥料を吸うことができます。

 

一般に、強く切り詰めると「栄養成長」が勝って、徒長枝がたくさん伸びます。弱く剪定すると、細かい枝がたくさん伸びて「生殖成長」に傾きます。でも、「生殖成長」ばかりを狙って剪定をすると、樹が弱ってしまいます。

 

枝の先端には「生長点」というのがあって、そこから根っこに向かって脇芽ができにくくなるホルモンがでるのだそうです。その成長点を摘むことで「生殖成長」を促したり、また、伸ばしたい枝の成長点をあえて残し、その他の成長点を摘むことで、樹形の調整をしたりします。

 

 

剪定の方法は、果樹によってそれぞれ違います。同じ果樹でも品種によって微妙に違います。それぞれ確認しながら行っています。

 

文字にするとなかなか難しいように思えますが、とりあえずやってみて、枝葉の茂り具合や実のなり方や味などを観察しながら、数年に渡って、樹と相談しながらゆっくり…といった感じで育てています。

 

樹形が広がりすぎて、全体として強く剪定した場合、あえて部分的に成長点を残し、その年はそこを放任した後、翌年に剪定するという方法もあるそうです。「息抜き枝」ともいうそうで、息抜きが大事なのは人間も植物も同じですね。

 

夏の緑を想像しながら、参考書を見ながら、遠くから眺めたり、近くに寄ってみたりしながら樹形を作っていく剪定作業。やっていくと一番楽しい作業かもしれません。